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「さんきゅー」は、悲しき響き。 [*Christmas holidays 2005]

クリスマス休暇の旅のおはなし/その3

アイルランドのシャノン空港から、
目指すはドイツはフランクフルトのハーン空港。
フランクフルトの街の中心から、100km以上も離れた小さな空港。

搭乗はがっつり2時間遅れ。
無駄に長い待ち時間ができたおかげで、
盛り上がりに欠ける免税店にて、ギネスビールのマグネットを2コ購入。
かっわっいっいっ♪


吹雪の中、飛行機はあっさり飛んだ。

そろそろ着陸よね、と、思い始めた頃、アナウンスが流れる。
「なんとかかんとか、雪がどーたらこーたら無理だから、
フランクフルトのコロンになんちゃらかんちゃら、さんきゅー↗」
と、アナウンスが流れた。ざわめく機内。
なになに?なにがコロンで、なにが、「さんきゅー↗」、なの?

吹雪の中、すばらしい着地を披露していただいたけど、どうも様子がおかしい。
飛行機が止まったので、窓の外を見てみる。
あまりにも空港施設がとーい。
それに、たくさんの飛行機が並んで止まっている。
だいたい、ハーンがこんなに大きな空港である訳がない。

嫌な予感・・・。

明るく機長からアナウンス。
「ハーン空港が猛吹雪で着陸できないので、コロン空港に降り立ったんだよ。
ハーン空港の様子を見て、また飛ぶから機内で待っててね。さんきゅー↗」

・・・。

1時間が経過。
狭い機内をうろうろしだす人がでてくる。
機内のアチコチで、缶詰記念撮影大会が始まる。

喉が渇くが、もちろん水の1滴もでない。
客室乗務員は、後ろで飲み物を飲みながら談笑。
ココで「水をください。」そう言ったら、笑顔で「○○ユーロです。」と言うのだろう。
そう思うとなんとなく悔しくて、「水をください。」とは言えなかった。(泣)

結局、1時間30分、動かない飛行機に缶詰となった。
そして、この飛行機が再びハーンにむけて飛ぶ事はなかった。

ハーンへは飛ばない事を告げる、明るく機長から最後のアナウンス。
「この飛行機は、猛吹雪の悪天候のハーンへは飛べなくなりました。
だからね、ココからハーンへは、自力で行ってね。さんきゅー↗」

自力で、って・・・、「さんきゅー↗」、って・・・、なんですか?

そして、つづいた。
「タラップが凍ってるから、すべらないように気をつけてね。さんきゅー↗」

凍ってるよね、・・・、だから、でも、「さんきゅー↗」の意味がわかりましぇん・・・。

タラップをおりると、格安飛行機でありえないバスのお出迎え。
「さ、さ、さんきゅー↘」
きむたこ、ココロの中で、泣きながらそうつぶやいた。


夜中1時。
バゲージクレームは、コロン空港に降り立った、たくさんの人でごったがえしていた。
他にも同じ理由で、やむおえずコロン空港に着陸した飛行機があったようだ。
並んだ椅子には、疲れきった人でいっぱい。

案内板には、乗ってた飛行機の便名はでていない。
当分出てこないな、そうあきらめて、端っこへ移動。
そして冷たい壁に背中をつけ、冷たい床にぺたっと座った。

あしを眺めるのも悪くないなぁ。


結局、荷物がでてくるまで、2時間待った。
大きくてデザインの素敵な空港で、途方に暮れる。
夜中3時。

悪い事に、ドイツでは、ハーン空港からほどほどに近い、
ちいさなちいさな町に、ホテルを予約済みであった。
ハーンに向かうしかなかった。

そして、次の移動は電車に決定。
朝いちばんの電車の時間まで、空港のベンチで過ごす事になった。
ゴロンとするも、眺めるほどに奇麗な空港。
疲れた体をひきずって、ちょっと、ウロウロしてしまう。




思いがけず、素敵な空港見学ができた、そう思えばいいのよね。
「さ、さ、さんきゅー↘」
きむたこ、ココロの中で、疑問を感じながらもそうつぶやいた。


「さんきゅー」は、悲しき響き・・・。


この後、ハーンへの道のりは地獄となった。
そして、ハーンへの交通費は、飛行機よりも高かった。
格安飛行機利用の意味もわからなくなった。

2005/12/31 ひどい年の暮れとなった。


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